昔の記事のバックアップ 20140331

『「持たざる国」の資源論ー持続可能な国土をめぐるもう一つの知ー』(佐藤 2009)①

M1〜M2の時に大きな示唆を得た『「持たざる国」の資源論ー持続可能な国土をめぐるもう一つの知ー』(佐藤 2009)を読みなおす。奇跡的に練馬区の図書館に所蔵されていた。
 
複雑な全体を細かな部分に切り分け、各々部分をそれぞれの専門家に割り当てて行く仕事の進め方が「科学的」であるとすると、切り分ける思考に慣れ切った私たちを立ち止まらせ、統合的な視点を回復させようとするのが資源論である。(226頁)
 
この考え方を強引に援用すれば、(出向社員かつ新入社員である)自分のミッションにより説得力をもたせられるのではないか。(この強引さが僕が研究者になれへんかった理由でもあるけど、、、文脈を無視してアイデアに飛びつく癖)
 
出向という身分に期待されるのは、外部であるがゆえに気づく差異のアウトプットである。
それはすなわち、(というかあえて資源論に引きつけていうと)「そうではなかった」選択肢に光を当てることである。ビジネスパーソンに立ち止まって考えてもらおうなんて、「何理想論振りかざしとんじゃ!」って言われるけど、自分のスタンスとしては重要と気づく。
 
新入社員という身分(もうすぐその身分も消失するが笑)に期待されるのは、白紙の状態で吸収すること、柵にとらわれず、横断的なセールスができることである。
Cチームがヒアリングして、投げるばかりではないと思うが、自分で創り上げること、別の領域でも考えてみようとすることへの抵抗感のなさ、より積極的にいうならば、全部自分で考えてみたいという欲求は、自分の長所であろう。
 
研修を提供する会社は、クライアントにとって外部である。
しかし、こちらのスタンスとしては、外部から準外部に、引いては内部同等のスタンスでクライアントと協業したい。
 
では、クライアント人事も上記のように捉えてみよう。
すなわち、クライアント人事を、クライアント営業部と経営層の外部と捉えるのである。
 
ここでセクショナリズムを惹起しようとしているのではない。
例えば、営業部長を商談に同席させることは、特にコンセプト作りの際など商談初期には、有用かもしれないというアイデアが思い浮かぶ。なぜなら、人事も外部であるがゆえに、不明点も多いからである。翻って、営業部側も、「貴重な時間を割いて、、、以下略」とネガティブにならずに、より研修効果の上がるようなマインドになりうる。研修会社は、研修を提供するけれども、研修実施によって何かを劇的に変えることはできない。これは、ある面で「逃げ」であるとしばしば言われる。無論この点を言い訳にしてはならないし、そのように捉えられうることには自覚的にあるべきである。が、そのポジティブな側面にも注目しても良いのではないか。商談に営業部長が同席するなんて、、、と人事も営業部も思う会社があるとしたら、そのように思わせただけでも、研修会社の(あるいはコンサルタントの笑)役割の一部を果たしたことになる。
 
このような考え方は、「直線的でわかりやすく効率的なビジネスライク」と相入れない部分もあろう。しかし、その相入れなさこそが重要であると思う。外部であることの役割、特に(人材)教育に関わる外部の役割は、「直線的でわかりやすく効率的なビジネスライク」に資することをきちんと説明しつつも、「直線的でわかりやすく効率的なビジネスライク」への信憑に再考を促すことである。
 
上記「(人材)教育」としたのは、(学校)教育との対比を意図している。(人材)教育とは、資本主義の論理で動く人々をその対象とする。一方、(学校)教育は、資本主義の論理で動くことを前提としていない(ことが本来的な姿であると自分では考えている)。
(人材)教育と(学校)教育の大きな差異は、「「直線的でわかりやすく効率的なビジネスライク」に資することをきちんと説明」することの必要性の有無ではないか。(人材)教育の目的が、企業活動を通じての利潤創出である一方で、(学校)教育の目的が社会的に成熟した市民の創出であるからである。
この前提に立つならば、(人材)教育は、利潤創出への明確な関連は担保される必要がある。では、社会的に成熟した市民の創出に対して資する旨を説明する必要はあるのだろうか。このように問うことが既に、ビジネスの領域に侵食されつつあることを示しているかもしれない。説明の必要性がないというよりむしろ説明が不可能なのである。
(ここで、「説明の必要性がある!」と主張することは、(学校)教育が危機に陥っている理由でもある。目的が違う場合、同じ手法を用いることが有用であるかは熟慮を要する。熟慮しないで説明を行い、「勉強をすると良いことがある」という浅薄な馬人参的説明は、現状の学校教育を取り巻くネガティブな状況の一因である)。
 
ちょっと長くなってしまったので、一旦区切り。